福島県立医科大学 理事長よりご挨拶

福島県立医科大学 理事長兼学長 菊地臣一

2011年3月11日の悲劇を奇跡に変えるために、福島県立医科大学は新たな歴史的使命を担いました。それ以来、福島県立医科大学の教職員全員が力を合わせてこれまでやってきました。

本学は、福島県の医療崩壊を防ぐために、福島県内で医療を担ってくれる医師を一人でも多く増やすことを最優先課題として位置付けてきました。しかし、この課題の達成は極めて困難です。

その中にあって、2012年10月に副学長に就任した福原俊一京都大教授は、この困難な課題に取り組む事業の企画立案を引き受けて下さいました。福原先生が最初に立ち上げたのは、この「臨床研究イノベーションセンター」でした。このイノベーションセンターの最初の事業が、「臨床研究フェローシップ」でした。当初は、一見荒唐無稽なこの事業が成功するとは、多くの人が考えていなかったのではないでしょうか。

このような困難な状況の中で、臨床研究イノベーションセンターは、この臨床研究フェローシップを多くの人たちに知ってもらう努力をされてきました。そのひとつが、會津日新館「臨床研究デザイン塾」です。福島の旧会津藩の地に、全国の北から南まで約60名の老若男女の心ある医師が集結して、臨床研究を学ぶ2泊3日の合宿を楽しんで帰られました。また、米国内科学会(ACP)日本支部年次総会など様々な集会、あるいは雑誌「Primaria」などを通じた広報活動を積極的にされました。その結果、半年で5名もの若手医師を県外からフェローとして確保することに成功されました。今後このフェローの数が倍増することに疑いの余地はありません。

臨床研究イノベーションセンターの活動は、県外から医師を確保することだけが目的ではありません。この福島の地に来て戴いた心ある医師に臨床研究を徹底的に学んで戴き、また第一線の現場で実践的演習をしていただくことによって、世界に発信する能力のある臨床研究者を育成することを目指されています。しかも、この研究は、研究のための研究でなく、福島県の大目標である「県民の健康長寿」を達成することを最終ゴールとされていることも特筆に値します。

このような臨床研究イノベーションセンターの活動は、我々福島県立医科大学の教職員全員にとって、まさに「希望の光」です。今後もこの「希望の光」を灯し続けて、福島県立医科大学、さらに福島県民の健康長寿の達成に向けて活動、活躍されることをお祈りしています。


福島県立医科大学 理事長兼学長
菊地臣一